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父と渋谷

最後がいつだったか覚えてないくらい久しぶりに父と2人で渋谷に買い物にいった。

来月、定年を迎える彼は、次の舞台を準備するように
自分の部屋に新しいパソコンを設置することにした。TVや新聞だけから得る情報に
懐疑的になっていて、本腰を入れてインターネットの世界へとシフトしようと
考えているんだろうと思う。

いや〜、本当にお疲れさまだったと思う。

父は今年66。40年以上、毎日毎日働いてきた。
彼とは雲泥の差ではあるけども、私も働くという経験を少なからずしているので、
その40年という時間のなかであっただろうこと、その40年という月日の長さ、
その中で彼が育んできたこと、育まれてきたこと、我慢してきただろう感情、
ただただ本当に尊敬するし、本当にお疲れさま、という言葉以外見つからない。

渋谷の電気店に所狭しと並びすぎの電化製品たち。
物と人と情報とスピードに溢れた街。
店員の言っていることを理路整然と理解しようとする父。
店員は説明しやすい私の方に積極的にいろいろと説明する。
かつては最前線で旬な時を生きてきた1人の男が、
時代の変化をひしひしと感じているのが横にいて分かった。

祖父の世代は食べた物が良かったのか、結構タフなんだと思うけど
母方の両親を含め、祖父母は未だ4人とも健在。だけども父と母と同居をする祖父は、
世間をあっと言わせる元気印だった昔の姿とは打って変わって、
朝はパジャマを濡らしたまま散歩したりするし、一歩の歩幅は30cmにも満たない。
そんな祖父のおむつを最近父は変えたり、お風呂に入れたりしている。
それを「こういう経験ができるのは幸せなんだと思う」と泣かせるセリフを言うし、
10年前ばりばり働いていた父からは想像もできない。

つい先日訪れた鎌倉の海辺にはビール瓶などのガラスの破片が落ちていたんだけど、
波や砂で角が取れたガラスの破片は、だいこんの面取りをしたように滑らかだった。
今の父はそんな滑らかさがある。

4世代東京で暮らしている父の家系。
祖父がこの世を全うするまでは東京から動けないというけれど、
いづれは富士山を眺めながら、畑などをやりながら母と暮らすのが夢だという。

戦後、彼らのような世代がしっかりと家を守り、経済を立て直して来てくれたおかげで、
私たちはどこでも通用するパスポートを手に入れ、
何にも困らない生活スタイルを手に入れることができた。
資本主義社会の価値を置い続けてきたことによって、多くのものが失われたというけれど、
忘れてしまうくらいにがんばって来てくれたということで、
大切なことを忘れたい人なんていないわけだから。
そう思うと、私たち次の世代が享受している新しい価値観や幸せを、
前の世代も前の前の世代も受け取るのが当然だと思う。

これから、父や母といろんな場所に行きたいし、できればまた一緒に暮らしたいと思っている。
全て私が得てこられたもの、出会った人たちを彼らと共有していきたい。

進み続ける、という感覚は両親が教えてくれた。
仕事以外にいろいろと活動をしていた彼は、定年後もやることがいろいろあるようで、
それにしてもどんな風にまた新しくなっていくのか、娘としてもとても楽しみ。

少しの時間一緒にいただけだったけど、楽しいひとときだったなぁ。
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by mgigi | 2009-05-21 21:49